研究内容

21世紀の今日においても産業の発展に伴う環境汚染は重要な問題です。大気,陸水,海水,土壌などの地球環境に影響を及ぼす化学物質は多岐にわたっており,それらの生体圏への悪影響が危惧されています。千葉研究室では,主にプラズマ分光分析法を用いて環境や生体試料中に含まれる元素を分析し,環境中での元素循環や環境物質と生体の相互作用を明らかにする研究を行っています。

 

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プラズマを用いた元素分析手法の開発と高度化

プラズマ分光分析法はマイクロ波や高周波を利用して数千ケルビンの高温のプラズマを維持し、その中に試料を導入し,目的の元素を励起したりイオン化したりして,発光分光分析法や質量分析法で測定する手法です。このプラズマ分光分析法を用いると,sub-ppt (pg/g = 10-12 g/g:1兆分1)の超微量レベルから%レベルの広い濃度範囲で存在する元素を分析することができます。

    ただし,マイクロ波を利用する電子レンジのように,誰もが簡単に「チン!」と分析することができるわけではありません。プラズマの励起条件をいろいろと検討したり,新しい測定方法を工夫したり、また新しい分析技術を開発したりしながら,環境・生体試料の中に隠された様々な元素を精確に精度よく測定できるようにするための研究開発を行っています。

 

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全元素化学を応用した環境科学の創成

我々の体内には様々な元素が存在して,それぞれが生命の維持のために重要な働きをしています。また、海水中の元素分布とヒト血清中の元素分布が極めてよい相関を示すこともよく知られています。このように、我々の周りにはたくさんの元素が存在して,地球環境を創りだし,生命活動を維持しています。

    さらに,元素がどのような形態で存在しているのか(例えば、ヒ素を例にすると、As(III)かAs(V)か有機ヒ素化合物か?)と言うことも重要です。元素はその存在形態によっても,環境中での循環あるいは生体への影響が大きく異なります。元素分析では,この元素の形態もあわせて調べることが重要になっています。

    また、最近では、様々な希少元素(レアメタル)が工業製品に広く使われています。地球上ではもともと局在していたこれらの元素が環境中に放出されています。今日では、その環境循環や環境挙動に関しても関心がもたれるようになりました。

    千葉研究室では,周期表のすべての元素が一つ一つの試料の中に存在するという考えのもと,試料中全ての元素を測定することで,環境と生体に含まれる元素間相互の複合的な影響の測定・評価を行っています。また,そのための装置開発も進めています。試料中のすべての元素を測定できれば,例えば、イクラ一粒の中に生命と海の姿を観ることができるようになるかもしれません。

 

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